1. はじめに

金融商品の販売等に関する法律(以下「金融商品販売法」と略す)と消費者販売法という新しい法律が共に,200141日に施行される.いずれの法律も,規制緩和の流れを受けて,従来型の裁量行政・事前規制を脱皮し,透明性の高い取引ルールを明示することにより,監督官庁による事後規制への移行と,自己責任に基づく取引慣行の醸成を促進すべく定められた.いずれの法律においても顧客・消費者(商品を買う側)と金融商品販売業者等・事業者(商品を売る側)には情報量,交渉力に大きな差があることを前提として,公正な取引ルールを策定することを目的としている.

金融商品販売法の大きな特徴は,金融販売業者等が金融商品の販売等に際して顧客に適切な説明をしなかったことにより顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償責任を明らかにしたことと,金融商品販売業者等に対して金融商品の販売時に適正な勧誘をすべきことを定めたことにある.

金融商品販売法と同時に施行される消費者契約法も,同様に消費者保護を目的としているが,対象が消費者契約全般に及ぶところが特徴となっている.消費者契約法においては,事業者の行為により消費者が誤認し,または困惑した場合に契約の取消しを認め,消費者の利益を不当に概する条項を無効にすることにより消費者保護を図っている.

今後ますます増えるであろうコンサルティング型の営業をFPビジネスの一環として展開していく場合には,事業者として両法の適用を受けることになる.

今後FPビジネスを展開していく上で,両法はいかなる影響を及ぼすのであろうか.また,両法にどのように対処すれば良いのであろうか.

2. 金融商品販売法

金融商品販売法の大きな特徴は,金融販売業者が金融商品の販売等に際して顧客に適切な説明をしなかったことにより顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の責任を明らかにしたことと,金融商品販売業者等に対して金融商品の販売時に適正な勧誘をすべきことを定めたことにある.特に後者は金融商品販売法に言葉としては明記されていないものの,金融商品販売業者等に対して顧客に金融商品を販売する際の販売指針,いわゆる「コンプライアンス」の開示を金融商品販売業者等に対して求めた画期的な法律である.

2.1 金融商品販売法制定の経緯

日本においても金融ビッグバンを契機として,金融商品販売業者等の取り扱う商品も投資信託,各種デリバティブ組み込み商品,ワラント等と多岐に渡るようになり,金融商品の販売,勧誘を巡るトラブルも多発するようになった.金融商品の販売に際して金融商品販売業者等が充分な説明をしなかったり,顧客が充分にリスクを理解できなかったことにより,元本割れなどの顧客にとって予想外の損失が発生したとして紛争になっている.顧客に対する説明義務は多くの場合法律上に明記されていなかった.

金融商品販売業者等に対する規制法は多くの場合いわゆる業法に頼る場合が多かったが,業法が存在しない金融商品を購入した顧客・消費者の保護に対しては当然無意味であるし,また顧客の救済規定がない場合も多かった.裁判による救済を求めた場合,金融商品販売業者等の説明義務の有無や,損害の因果関係の立証責任が原告側にあるなど,極めて不利な条件が課されていた.多くの場合,裁判は長期化し,結果的に泣き寝入りを強いられた顧客も多かったと思われる.

以上を踏まえて金融商品取引法は制定されたが,その特徴は,

·         金融商品の販売に際して横断的な説明義務を明確化したこと

·         金融商品販売業者等が説明義務違反を犯した場合の損害賠償責任を明示し,立証責任の転換を図ったこと

·         金融商品販売業者等に勧誘の適正の確保に関する方針の策定・公表を義務づけたこと

があげられる.

2.2 金融商品販売法の内容

金融商品販売法は全部で9条と附則からなる極めてシンプルな法律である.以下条ごとにその内容を解説する.

1 目的

極めて明確であるので,条文をそのまま引用する.
「この法律は,金融商品販売業者等が金融商品の販売等に際し顧客に対して説明すべき事項及び金融商品販売業者等が顧客に対して当該事項について説明をしなかったことにより当該顧客に損害が生じた場合における金融商品販売業者等の損害賠償の責任並びに金融商品販売業者等が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めることにより,顧客の保護を図り,もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする.」

2 各種定義

1「金融商品の販売」の定義.1号から12号まで各種金融商品の販売行為を列挙,さらに13号で前各号に掲げる者に類するものとして政令で定める行為を規程することで増え続ける金融商品に対処している.
2「金融商品の販売等」の定義.金融商品の販売又はその代理若しくは媒介取引をいう.
3「金融商品販売業者等」の定義.金融商品の販売を業として行うものをいう.
4「顧客」の定義.金融商品の販売の相手方をいう.

3 金融商品販売業者等の説明義務

金融商品販売業者等は次に掲げる「重要事項」を当該金融商品の販売が行われるまでの間に顧客に説明しなければならない.

1 相場の変動に伴い元本欠損が生ずるおそれがある場合にはその旨及び当該指標
2
金融商品販売業者等又はその他の者の信用力の変化により元本欠損が生ずるおそれがある場合にはその旨及び当該者
3
2号に掲げるもののほか,当該金融商品の販売について顧客の判断に影響を及ぼすことになる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがある場合にはその旨及び当該事由
4
当該金融商品の権利行使・解除のできる期間に関して制限がある場合はその旨

2 1から3号に係る元本欠損の定義.顧客支払額が顧客受取額を上回ることとなるおそれがあることをいう.
3
ひとつの金融商品に複数の金融商品販売業者等が係った場合,ひとつの業者が重要事項の説明をした場合にはその他の業者の説明義務は免除される.
4
1項の規程が適用されない場合.

1 顧客がいわゆるプロ(「特定顧客」という)で,政令で定められた者
2
重要事項について顧客が説明を要しないとの表明があった場合

4 金融商品販売業者等の損害賠償責任

前条の規定による重要事項の説明を怠った場合,これによって生じた当該顧客の損害を賠償しなくてはならない.

5 損害の額の推定

元本欠損額を損害の額と推定する.
2

6 民法の適用

例としては,時効 「不法行為ニ因ル損害賠償ノ請求権ハ被害者又ハ其法定代理人カ損害及ヒ加害者ヲ知リタル時ヨリ三年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス不法行為ノ時ヨリ二十年ヲ経過シタルトキ亦同シ」(民法第724)があげられる.

7 勧誘の適正の確保

「金融商品販売業者等は,業として行う金融商品の販売に係る勧誘をするに際し,その適性の確保に努めなくてはならない.」

8 勧誘方針の策定等

金融商品販売業者等は,金融商品の販売等に係る勧誘に関する方針(以下「勧誘方針」)をあらかじめ定めなければならない.
ただし,当該金融商品販売業者等が国・地方公共団体等,政令で定める場合,特定顧客のみを顧客とする場合は除く.

2 勧誘方針において定める事項

1 「勧誘の対象となる者の知識,経験及び財産の状況に照らし配慮すべき事項」

2 勧誘の方針並びに時間帯

3 その他勧誘の適正の確保に関する事項

3 勧誘方針を定めたときは,公表しなければならない.

9 過料

勧誘規定を定めず,あるいは公表しなかった場合は50万円以下の過料に処す.

附則以下略

3. 消費者契約法

金融商品販売法とほぼ同様な経緯から消費者契約法(平成12512日公布,平成1341日施行)も制定された.金融商品販売法が金融商品に着目して規制を加えるのに対して,消費者契約法は自然人である消費者が結ぶ消費者契約に着目して規制を加えている.従って,金融商品取引法では金融商品の販売等に係る全ての契約(例外はあるものの)を対象としているのに対して,消費者契約法では事業者と消費者の間で締結される全ての消費者契約を対象としていることが大きな相違点としてあげられる.また,金融商品販売法の第8条に規定するいわゆるコンプライアンスの公表に係る条項は消費者契約法には存在しない.

3.1 消費者契約法の内容

1    総則

1 目的

金融商品販売法同様,条文をそのまま引用する.

「この法律は,消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,事業者の一定の行為により消費者が誤認し,又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことが出来ることとするとともに,事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする.」

2 定義

「この法律において,「消費者」とは個人をいう.」
2
「この法律において,「事業者」とは,法人その他の団体及び,事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう.」
3
「この法律において「消費者契約」とは,消費者と事業者との間で締結される契約をいう.」

3 事業者及び消費者の努力

事業者は消費者契約を結ぶに際して,消費者が消費者契約の内容を明確に理解できるよう情報を提供するよう努めなくてはならない.

2 消費者は,消費者契約を結ぶに際して,事業者から提供された情報を活用,理解するよう努めなくてはならない.

2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し

4 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し

消費者が,以下に定める事業者の行為による誤認に基づいて消費者契約を結んだ場合には取り消すことが出来る.

1 重要事項に関する不実告知

2 重要事項に関する断定的判断の提供

2 不利益事実の不告知

3 消費者は事業者が以下に掲げる不適切な勧誘をしたことにより困惑し,消費者契約を結んだ場合には取り消すことが出来る.

1 不退去

2 監禁

4 重要事項とは,消費者が消費者契約を結ぶか否かを判断するのに通常影響を及ぼすべきものをいう.

12

5 1項から第3項の規定による取消しは善意の第三者に対抗できない.

5 媒介の委託を受けた第三者及び代理人

前条の規定は,事業者から委託を受けたものにも適用される.

2 消費者及び事業者の代理人についても,消費者及び事業者の規定が適用される.

6 解釈規定

本法第4条第1項から第3項に規定する行為に該当する場合でも,民法上の詐欺・脅迫(民法96)が成立する場合には,消費者は民法に基づく取消しを主張できる.

7 取消権の行使期間

上記取消権は,追認をすることができるときから6ヶ月間行わないときは,時効によって消滅する.消費者契約を締結したときから5年を経過したときも,同様とする.

3 消費者契約の条項の無効

8 事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効

9 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効

10 消費者の利益を一方的に概する条項の無効

11 他の法律の適用

本法に特段の定めがない場合には,民法及び商法が適用される.

12 適用除外

本法は労働契約には適用されない.

附則以下略

4.金融商品販売法及び消費者契約法の問題点

金融商品販売法及び消費者契約法に関する問題点について,両法を対比させつつ取り上げていく.

4.1 条文関係

4.1.1 「国民経済の健全な発展」

両法に奇しくも全く同じ「国民経済の健全な発展」という語句が第1条に書かれている.金融商品販売法その他の制定を目的とした金融審議会第一部会の公表した「中間整理(第一次)」には,「今後の金融システムのあり方としては,ルールの透明性の確保を前提とした上で,公共性と効率性という二つの軸が,ともに重要となる.幅広く効率的なリスク分散を行うためには,一般の利用者が安心して取引ができるシステムを構築することが必要である.他方で,余りにも利用者保護を強調しすぎれば,利用者のモラルハザードを助長しかねない.また,利用者保護を余りにも強調することが金融商品・サービスの提供コストに跳ね返り,多くの魅力的な金融商品・サービスを一般の利用者に提供することが経済的に見合わなくなったり,あるいは業者の自由な創意工夫の発揮を妨げ,金融イノベーションの進展を阻む可能性があることにも留意が必要である(そのような場合には,結果として,利用者にとっても金融技術の革新のせいかを享受できなくなることから不利益となりかねず,さらには幅広く効率的なリスク配分が阻害されることによって,経済の活性化にもつながらないこととなろう)(1)と書かれていることからも明らかなように,顧客保護を目指した法律でありながら,当初よりかなり強く金融商品販売業者等の意図が働いていることが読み取れる.

金融商品販売法においては,顧客は弱者として強者である金融商品販売業者等から保護されるべき対象ではなく,あたかも金融商品販売業者等と同等の知識・経験を持ったプレイヤーのように,同じ土俵でリスクテイクを行うことを期待されている.また,利用者(顧客)保護を強調しすぎれば,利用者のモラルハザードを助長しかねないという表現に見られるように,顧客保護を必要最小限にして,従って取引コストを最小限に押さえて経済的効率性を追求していることが伺える.

この点に関しては,平成10年に公表された消費者契約法の成立に関わる国民生活審議会の報告において,「消費者契約法は,消費者契約における契約締結過程及び内容の適正化を図ることにより,消費者利益を確保し,もって,国民の消費生活の安定及び向上に資することを目的とする」(2)と,実際に成立した条文とはかなり異なる消費者利益を前面に押し出した表現が使われていた.後述するが,当初はかなり消費者利益の保護を前面に打ち出していた消費者保護法も,産業界の強い反対にかなり表現を弱めていったことが分かる.同法の制定後に公表された文書には,同法の制定による「裁判規範として機能することを通じた消費者の事後救済の容易化・迅速化,法的安定性の向上,裁判外紛争処理の円滑化,低コスト化」(3)が期待されている.当初の理念とは異なり,産業界の経済的要請を全面的に受け入れた効率性を重視した法律になっていることが分かる.

4.1.2 対象となる商品・契約

金融商品販売法第2条は大変網羅的に金融商品をカバーしているように思われるが,実はいくつか,おそらくは意図的に外されている金融商品がある.

金額的に最大の商品は郵便貯金である.しかし,郵便貯金の名寄せ機能の不備を悪用した事件として,「埼玉県所沢市の飲食店経営者の脱税事件に絡み,同市の所沢郵便局と貯金資料を管理する「長野貯金事務センター」(長野市)が,関東甲信越国税局の強制捜査(査察)を受けていたことが11日,分かった.郵便貯金の限度額(11000万円)を超えていることを知りながら,借名口座で脱税マネーを受け入れていた疑いがあったため」 (4)といった報道を見聞すると,適正な運営がなされているとは思えないのであるが,いかがであろうか.

また,通産省の管轄になる商品先物取引も外されている.商品先物は証拠金を払い込むことによって大きな金額の取引ができるいわゆるレバレッジの高さが特徴である.レバレッジが高いことから,顧客が取引の過程で証拠金を上回る損失を出して追証を求められ,元本欠損どころか元本を丸々失ってさらに損失の補填を求められる場合もあるなど,社会問題化している.国民生活センターからも「数ある利殖商法のなかで先物取引は損害額の高い最も危険な取引なので絶対に近づかないことです.すでに取引を始めている場合には,損得のいかんを問わず早急にやめることが肝心です」(5)とまで書かれている商品である.商品先物取引については個別業法で充分な消費者保護が行われているため規制対象から外すという立場をとっているが,当然に金融商品販売法が適用されるべきだと思われる.

この点については,消費者契約法では,第147回国会における審議においても,経済企画庁の発行した「消費者契約法の解説」においても,営利・非営利,公益・私益の別を問わず,業として同種の行為を反復継続して行う者は事業者になり得るとしている(6)(7).従って,上記例外とされた金融商品を取り扱っている事業者が消費者と契約した場合は消費者契約法の対象となる.

4.1.3 説明義務

金融商品販売法においては,金融商品販売業者等に重要事項の説明義務が課されている(金融商品販売法第3)が,消費者契約法においては,事業者の努力義務にとどまっている(消費者契約法第3条第1)

他業法の例では,宅地建物取引業法第35条において,取引を締結するまでに一定の重要事項を記載した書面を交付した上で宅地建物取引主任者をして説明させなくてはならないと規定している.通常の商品と不動産商品の取引頻度の差を考慮すれば,やむを得ないものかもしれないが,平成10年の段階では国民生活審議会の議論において,事業者に情報提供義務を消費者契約法のなかで明確に位置付ける必要性が強調されている(8).さらに,「これに対しては,事業者に新たな義務を課すことになるのではないかという意見があったが,従来,取引におけるメリットだけを表に大きく出して,消費者が自己決定を行う上でメリットと同様に必要なデメリットについては出さない悪質な事業者が往々にして見られるため,重要事項に関する情報の開示を義務づける必要があるのであり,これまで適切な事業活動を行ってきており,消費者に満足が得られている事業者にとっては,新たな義務が課せられるということにはならないと考える」(9)と明確に断定している.これにかかわらず,実際に公布された消費者契約法第3条第1項において事業者の努力義務にとどまっているのは,消費者保護が大幅に後退したとの印象を持たざるを得ない.

また,いずれの法律においても,金融商品販売業者等/事業者に対して充分な説明をすることを求めているものの,顧客/消費者の理解を確かめることを全く要求していない.このことは,「中間整理(第一次)」において,「取引きルールとして説明義務を考える場合には,「説明すればリスクは移転する」,「説明しなければ移転しない」を基本として」(10)いること,「利用者が金融商品の内容すべてについて知ることを想定するのは非現実的である」(11)と断じていることからも明らかであろう.消費者契約法においてはさらに,「消費者は,消費者契約を締結するに際しては,事業者から提供された情報を活用し,消費者の権利義務その他の消費者契約の内容について理解するように努めるものとする」(消費者契約法第3条第2 )と,消費者の努力規定まで置いている.もちろん本条項は努力規定であり,「消費者が本条第2項に規定された努力を仮に果たさなかったとしても,本条に基づいて契約の取り消しが認められなくなったり,損害賠償責任が発生したり,過失相殺の判断において法的に影響が及んだりすることはない」(12)

説明義務については,「中間整理(第一次)」において適合性原則について触れているのが参考になるであろう.適合性原則とは「狭義には,一定の利用者に対しては,如何に説明を尽くしても一定の金融商品の販売・勧誘を行ってはならないというルールであり,広義には,利用者の知識・経験,財産力,投資目的等に照らして適合した商品・サービスの販売・勧誘を行わなければならないといったルールを意味する」(13).まさにコンプライアンスの精神そのものであり,これからの金融商品の販売に際して求められているルールであると思われる.しかし,例えば不適合とされる利用者がなお取引を希望する場合などにおいては,契約における私的自治の原則等を踏まえれば,「一律に無効とする取り扱いを法令で明示的に規定すること」は難しい(14)として金融商品販売法に反映されなかったのは大変残念なことである.

さらに,金融商品販売法第3条第4項第2号では,顧客から重要事項の説明は要しないとの意思の表明があった場合には,重要事項の説明を省略して良い旨規定されている.確かに,実務上,一定の金融取引を反復して行っている顧客に対しては,金融商品販売業者等,顧客ともに重要事項の説明を省略してしまう要求があって当然であろう.しかし,顧客に急いでいるからとか,面倒くさいからややこしい説明は止めてくれ,といわれた場合にも認めてしまうのはいかがなものであろうか.

消費者契約法においても「当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず,当該消費者がこれを拒んだときは,この限りではない」(消費者契約法第4条第2)と同様な規定がある.この規定に関しては,消費者が説明を拒否した理由が「説明を受ける時間がない,説明を受けることが面倒である」といった場合でも適用されるとしている(15).平成10年における国民生活審議会報告においては,情報提供義務を免除されるのは,「単に消費者が情報提供を拒否したというのでは十分ではなく,消費者が自発的かつ十分に理解した上で情報提供を拒否した場合に限るべきである」(16)と記されているのと比べると,大幅な後退が感じられる.

また,説明をする場合の方法については一切触れていない.例えば,現在の条項では電話を通じて説明を加えることも勿論認められるであろうし,書面を交付する方法も認められるであろう.書面を交付する場合には,交付した上で説明を加えなくては一般的には説明をしたことにはならないと思われるが,両法の条項上は認められていると理解される.

契約・説明書面の交付は両法において義務づけられてはいないが,金融商品取引法においては義務づけてしかるべき条項だと思われる.少なくとも,事後的に契約内容について書面で公布することは義務づけるべきだと思われる.金融商品の取引に関しては,実務上もコンファメーション(取引き確認書)の交付として既に大概の金融機関で実行されていると思われる.

4.1.4 重要事項

金融商品販売法第3条においては,重要事項として説明しなくてはいけない事項を簡単に列挙している.その内容として,元本欠損が生ずるおそれ,と表現しているが,前記商品先物取引のように証拠金を払い込んだ後は証拠金が減少するだけでなく追加証拠金を請求され,払い込み元本はおろか,それ以上の金品を要求される場合がある.このようなレバレッジの高い商品の場合には,いわゆる元本を保証しない商品とは区別する必要があると思われるが,金融商品取引法では全く商品特性には踏み込んでいない.このような金融商品販売に際して規制については第7条,第8条に規定する金融販売業者の勧誘方針,コンプライアンスに頼り切っているのは問題であろう.

消費者契約法においては,第4条第4項で,重要事項とは消費者契約の目的となるものの質,用途などの内容,もしくは対価などの取引条件に係るもので,「消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう」といささか漠然と規定している.「通常」の判断基準として,一般平均的な消費者を基準として判断を行うとしているが(17,前述適合性原理から見ても,当該消費者の理解や経験を考慮せずに型にはまった説明をすれば重要事項を説明したことになるとしているのは問題があると思われる.

4.1.5 損害賠償と取消し

金融商品販売法においては,重要事項について説明をしなかったことにより顧客に損失が生じた場合には元本欠損額をもって顧客に生じた損害の額とし,これを賠償しなくてはならないとしている.大変妥当な条文であろう.

消費者契約法においては,前提となる条件は些か異なるものの,消費者契約法第4条において,金融商品販売法における元本欠損額の損害賠償とは異なり,取引そのものの取り消しを認めている.

前述のように,金融商品の取引に際し,個人顧客が金融商品取引業者と取引きした場合には,金融商品取引法,消費者契約法ともに適用可能であるので,自身に有利な法律を選ぶことができる.金融商品取引法に基づけば顧客は時価で金融商品を売却した上で元本欠損額を損害賠償として補填することを金融商品販売業者等に要求でき,消費者契約法に基づけば消費者は既に履行された債務を不当利得として事業者に返還請求することができる.いずれにしてもほぼ同様の効果が得られる.ただし,金融商品販売法において請求できるのは損害賠償であるので,過失相殺によって顧客の取得できる金額が削減される可能性は残り,消費者契約法では契約の取り消しを認めているので,消費者が支払った金額は全額事業者に請求できる.一方,金融商品販売法においては重要事項の不告知が説明義務違反となり求償権が発生するが,消費者契約法においては不利益事実の不告知については事業者の「故意」が問題とされている(故意の立証は消費者にあると考えられる)など,その要件や効果には若干の食い違いがある.

消費者契約法における「故意」ついては,平成10年の国民生活審議会報告の中で,「情報提供義務違反や不実告知を行ったことについて,事業者の故意があることを要件とするか否かについて検討する必要があるが,事業者の故意の有無にかかわらず,情報の提供がなかったこと,又は不実のことが告げられたことによって消費者が受ける影響は同じであるとともに,故意の立証は,消費者にとってきわめて困難であり,故意を要件としたのでは実質上民法とほとんど変わらず,このルールを作る意味がなくなってしまうという問題が生じることとなると考えられる」(18)と記されている.実際の条文に「故意」の2文字が記載されたことにより,事業者に大幅に有利な規定にすりかわってしまっている.

4.1.6 不適切な勧誘

金融商品販売法第7条は「金融商品販売業者等は,業として行う金融商品の販売に係る勧誘をするに際し,その適性の確保に努めなくてはならない」という大変簡単な条文を置いている.これに関連して,第8条において,金融商品販売業者等はあらかじめ一定事項に関して勧誘方針を定めるとともに,これを公表しなくてはならないとされている.

一般的には不適性な勧誘とは,虚偽の情報を提供したり,重要な事実を故意に告げないなど詐欺的な勧誘や,断定的な情報の提供による勧誘,脅迫的な勧誘,あるいは物理的に拘束を受けたり,セールスマンが退去要請に応じないといった場合などがあげられるであろう.具体的条件を条文に盛り込むかどうか,金融審議会において議論されたことは間違いないが,「「取引ルール」の観点から整理すると,不適切な勧誘行為を取引・契約の無効・取消しや解除のための用件と考えることが必要あるいは適当といえるかが論点となる.不適切な勧誘行為に関する「取引ルール」の確立は,利用者保護に係る現状に照らして有効な方策であるとの見解がある一方で,これに民事責任発生の要件等まで持たせることは,民法の原則等に照らして議論の余地がある,との意見もあり」(19),残念ながら実際の条文には取消権などは盛り込まれなかった.

金融商品取引法においては,重要事項を告げなかったことにより顧客が損害を受けた場合,金融商品販売業者等は損害賠償の責任を負うが,重要事項の不告知以外の単に不適切な勧誘を行った場合には,賠償責任は負わないと理解できる.第8条との関連において,細目は金融商品販売業者等の自主規制を期待しているのかもしれないが,本条項だけでは不十分であり,特に不適切な勧誘を受けた場合にも金融商品販売業者等の損害賠償責任を認めるようにすべきであろう.

この点に関して,消費者契約法はより明快な見解を取っており,消費者契約を締結するに際し,事業者が消費者をして誤認させるような情報の提供を行った場合には契約を取り消せるのはもちろん,事業者が不退去、監禁といった消費者を困惑させるような行為を行った場合にも契約を取り消せることを具体的に法律条文のなかに盛り込んでいる.

消費者契約法の条文ですら,同法第4条第2項の重要事項の不告知について事業者の故意を問題にしていること,不退去・監禁以外の威迫・困惑行為などが含まれていないことなどの問題はあるものの,金融商品取引法よりはるかに具体的記述がなされている.対象となる商品の範囲の狭い金融商品取引法においても,同様な条項を盛り込むことが望まれる.

4.1.7 公表の方法

金融商品販売法施行令()において公表の方法として提示されているのは,金融商品の販売等を行う本店,営業所,事務所等において「勧誘方針を見やすいように掲示する方法又は勧誘方針を閲覧に供する方法」,もしくは「金融商品販売業者等が,公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に無線通信又は有線通信の送信を行うこと(以下この号において「自動送信」という.)により金融商品の販売等を行う場合勧誘方針を自動送信する方法」(20)である.ただし,勧誘方針については,上記一定の方法で公表していれば,例え顧客が読まなかったとしても,ペナルティーはない.

金融商品販売法の字面を読む限りにおいては,従来のように横並びの金融商品を並べ,セールスマンが夜討ち朝駆けの営業による売り込みを図った時代は終わり,顧客(一般的表現では消費者)が自主的・自覚的に金融商品販売業者等(一般的表現では金融機関)を選別する時代に入ったことを予感さる.しかしながら,本法が金融商品販売業者等に対して,コンプライアンス条項を定めて一定の方法で公表すれば,損害賠償の責任を負わないとする隠れ蓑に使われない保証はない.

特に,「配慮すべき事項」をあげてはいるものの,その内容に言及していないことから,金融商品販売業者等が自身に有利な勧誘方針を策定した場合,勧誘方針そのものが意味をなさなくなる.また,例えその勧誘方針に反する販売行為を行った場合でも,それだけでは金融商品販売業者等に第四条に規定する損害賠償責任を生じさせる法律構成とはなっていない.繰り返すが,個人顧客の場合には消費者契約法により,一定の不適切な勧誘によって消費者契約を締結した場合,契約を取り消す権利が認められている.消費者契約法があらゆる消費者契約を対象とするのに対して,より狭い概念である金融商品のみを対象とする金融商品取引法においても,同様の権利が認められるべきであろう.

4.2 その他両法に盛り込まれなかった条項

4.2.1 クーリング・オフ

民法のもとでは,一旦締結した契約を一方的に破棄することはできない.しかしこの条項は契約当事者が同等の関係にあり,十分な考慮の上に契約が成立したことを前提として規定されている.そこで,訪問販売などで熟慮する間もなく契約してしまった場合などに,消費者(ここでは一般的意味)が一旦申込みや契約をした場合でも,契約の内容を明らかにした書面の交付を受けた,あるいはクーリング・オフ制度について説明を受けたなど一定の日から一定期間は消費者からの一方的な申込みの撤回や契約の解除を認める制度が制定されている.クーリング・オフの具体例は表1参照.

金融審議会においても国民生活審議会においても,初期の段階ではクーリング・オフ制度に言及しているものの(21)(22),結局法案には盛り込まれなかった.確かに,一般的条項としてクーリング・オフ制度を盛り込むのは無理があると思われる.しかし,表1を見ても分かるとおり,個別業法では多くの契約においてクーリング・オフが認められている.制度そのものは検討に値すると思われるので,対象金融商品を限定するなどしてクーリング・オフ制度を導入することが望まれる.

4.2.2 バックファイナンスを伴う契約

金融審議会の議論においても,「金融商品販売業者等が金融商品を販売する際に,融資業者が金融商品の融資(バックファイナンス)を提供している場合には,融資業者の責任を追及する余地があるのではないかという議論がある」(23)と指摘されているとおり,金融商品を販売する際に資金の足りない顧客に対して不足分を融資することにより商品の販売促進をはかる手法は金融機関においては一般的に行われてきたといえるだろう.

具体的には,バブル期のゴルフ会員権の販売,相続対策と称して地主の所有地にビルを建てさせる,などで多用された手法である.訴訟事件となった事例としては,販売対象が金融商品であったものとしては変額保険の販売が,販売対象が金融商品でない場合では,直接金融機関が販売に係ったわけではないが,買い戻し条件付の宝石販売の事例がこの範疇に入ると思われる.多くの場合には販売対象となる商品の販売業者と融資を行う金融業者が法的に独立しており,事後的に両者の責任を追及することが難しかった.しかし,近年変額保険訴訟では金融機関と保険会社双方の責任を認める判決も出てきており(24),買い戻し条件付の宝石販売の事件では信販会社が責任を認めるかたちで和解が成立した(25)

変額保険訴訟の事例に金融商品販売法の規定を当てはめてみると,金融商品販売業者等として重要事項の説明を求められるのは保険会社に限られており,バックファイナンスを行う銀行は,融資が金融商品販売法の対象に含まれないことから,金融商品販売法上の重要事項の説明する義務はない.消費者契約法による説明努力義務はもちろん存在するものの,販売される商品との関わりにおいて説明する義務はもとより存在しない.しかし,融資と金融商品販売が密接に結びついている事例の場合は,双方の金融商品販売業者等が連帯して説明義務を負うべきであると考えられる.この点については「中間整理(第二次)」で触れられているものの,実際の法案には生かされていないのは残念である.

5. FPビジネスへの影響

両法ともに200141日施行が決定している.今後のFPビジネスにどのような影響をもたらすのであろうか.

5.1 事業としてのFP

コンサル業務を主とするファイナンシャル・プランナーも,事業として契約の当事者になる場合には,経営形態が個人であっても,法人であっても,消費者契約法における事業者にあたる.

また,ファイナンシャル・プランナーが金融商品の売買を業として行えば(媒介や代理を含む),金融商品販売法の金融商品販売業者等に該当する.その場合,勧誘方針の公表がまず求められる.

これに関しては,日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のCFP認定者に対する規則の中に,「ファイナンシャル・プランナーは,職業上の関係(結びつき)についての重要な情報を適切な時期に文書で開示しなければならない」(規則402)(26)として,ファイナンシャル・プラニングの理念,理論,原則などを開示しなくてはならないとされている.

さらに,情報提供義務に対応する規則として,「CFP認定者は,誤ったあるいは誤解を招くような通信や広告で顧客を勧誘してはならない」(規則101),「CFP認定者は,専門家としての活動において,不正直,詐欺,または不当表示の行為をしてはならず」中略「誤った,または誤った印象を与える陳述を故意にしてはならない」(規則103)といった規則が制定されている.

適合性原理に該当する規則として「ファイナンシャル・プランナーは顧客と契約をするに当たっては,以下の事項について確認しなくてはならない.a.提供しようとする業務が顧客のニーズと合致していること.b.自身が十分な業務を提供するために必要な能力を有すること,またはそのような業務を提供できる他の専門家を関与させる能力があること」(規則702),「ファイナンシャル・プランナーは,顧客にとって不適切な提案を行ってはならない」と規定している.さらに,ファイナンシャル・プランを提案した後のモニターに関する基準も設けてあるなど,金融商品販売法,消費者契約法の基準を十分に満たすだけの規則・基準が設けられている.これだけ厳しい基準を満たして営業していることはファイナンシャル・プランナーにとって格好のアピール材料になるはずである.

もちろん,実務上は,業務内容に対する規則を満たすことはもとより,顧客に対して聞き取り調査やコンサルを行う場合,ある一定のフォームを用意して,内容に間違いがないことや,アドバイスを理解したことの確認・署名などを求める,コピーを交付するといった手続きは必要になると思われる.

5.2 社会的存在としてのFP

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会においても,FPビジネスの社会性に注目して奉仕活動,啓蒙活動を行っているが,この点は消費者契約法の付帯決議においても強調されている.

衆議院 商工委員会においては,「消費者が本法を活用しつつ,事故責任に基づいて主体的・合理的に行動できる能力を培うため,消費者が,本法を始めとする民事ルールの意義・役割,契約力を向上させることができるよう,学校教育などにおける消費者契約に関する消費者教育の支援に積極的に取り組むこと」(27)が決議されている.また,参議院 経済・産業委員会においても「消費者が,契約に関し事故責任に基づいた主体的・合理的な判断及び行動ができるよう,消費者教育の支援等に積極的に取り組むこと」(28)が決議されている.

経済審議会の報告書においても,「ビッグバンによる金融仲介業務の差別化,多様化を控えアナリスト,ファイナンシャル・プランナーの存在が認知されるとともに,その機能の一層の充実が求められる」(29)と,ファイナンシャル・プランナーをこれからの金融界の担い手として位置づけている.

前述のように,ファイナンシャル・プランナーはその資質からいっても,またその本来の目的からいっても,ビッグバン以後大きく変貌を遂げつつある金融界と一般消費者の仲立ちとしての業務を担い得る立場にある.各々のFPは金融商品販売法及び消費者契約法の制定をひとつの契機として,社会的認知を深め,さらなるビジネス・チャンスを拡大していく必要があると思われる.

6. 結論

以上見てきたように,金融商品販売法,消費者契約法ともに内容的には満足いきかねる条項が多々ある.また,両法が施行されただけでは消費生活におけるトラブル発生に歯止めがかかるわけではないと思われる.

しかしながら,両法に共通する重要事項の説明義務などに見られる消費者保護の精神はファイナンシャル・プランナーの本分であり,顧客への重要事項の説明義務で困るファイナンシャル・プランナーはいないものと信じる.むしろ,これをビジネスチャンスとして,コンサル型の営業を展開していくきっかけとなることが期待できる.それだけでなく,ファイナンシャル・プランナーは消費者の教育・啓蒙の担い手として大きく社会に貢献できるであろう.

 

 

(1) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p5

(2) 経済企画庁(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」p5

(3) 経済企画庁(2000)「消費者契約法の解説」p2

(4) 2000912日付け毎日新聞

(5) 国民生活センター(1999)「消費生活の知識 被害も高額,商品先物取引に注意!」

(6) 経済企画庁(2000)「逐条解説 消費者契約法」第一部立法の背景・経緯p9

(7) 経済企画庁(2000)「消費者契約法の解説」p3

(8) 経済企画庁(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」p14

(9) 経済企画庁(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」p14

(10) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p15

(11) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p15

(12) 経済企画庁(2000)「消費者契約法の解説」p6

(13) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p38

(14) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p17

(15) 経済企画庁(2000)「消費者契約法の解説」p15

(16) 経済企画庁(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」p14

(17) 経済企画庁(2000)「消費者契約法の解説」p19

(18) 経済企画庁(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容について」p15

(19) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p19

(20) 金融庁(2000)「金融商品の販売等に関する法律施行令()p8

(21) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p20)

(22) 金融審議会(1999)「中間整理(第一次)p20

(23) 金融審議会(1999)「中間整理(第二次)」別紙p5

(24) 平成8年東京地裁で初めて銀行全面敗訴の判決が出た(東京地判平8730日金融法務事情1465p90)。ただし,その後も銀行勝訴の判決も多く出ている.

(25) 「破産した「ココ山岡宝飾店」のダイヤ買い戻し商法をめぐり,東京都や神奈川県などの顧客1500人が,クレジット契約を結んだ信販会社を相手に,未払い金債務不存在の確認などを求めた訴訟で15日,原告側と信販9社は,信販会社による未払い金の再建放棄を柱とする和解案に基本合意.他の同様の訴訟でも,全国一律の和解が進む見通しとなった.」(2000316日付け信濃毎日新聞)

(26) 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(1999)CFP認定者諸規則」p7

(27) 経済企画庁(2000)「消費者契約法」p6

(28) 経済企画庁(2000)「消費者契約法」p7

(29) 経済審議会(1998)「金融ワーキンググループ報告書」p12

 

 

<文献>

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毎日新聞(2000) 「査察」『毎日新聞』9月12日 ロイターnMAIC14044 (2000/09/12)

松本 恒雄(2000)「消費者契約法、金融商品販売法と金融取引」『金融法務事情』1587:pp6-11

松本 恒雄監修(2000)『金融商品販売法・消費者契約法早わかり』BSIエデュケーション

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日本弁護士連合会(1998)「消費者契約法(仮称)の具体的内容についての国民生活審議会消費者政策部会中間報告に対する意見」http://www.nichibenren.or.jp/sengen/iken/9810-12.htm (2000/08/29)

日本弁護士連合会(1999)「新しい金融の流れに関する懇談会「論点整理」に対する意見書」http://www.nichibenren.or.jp/sengen/iken/9901-03.htm (2000/08/29)

日本弁護士連合会(1999)「金融審議会第一部会「中間整理(第一次)」に対する意見書」http://www.nichibenren.or.jp/sengen/iken/9908-06.htm (2000/08/29)

日本弁護士連合会(1999)「統一消費者信用法の制定に向けて」http://www.nichibenren.or.jp/sengen/iken/9907-01.htm (2000/08/29)

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東京地裁,平成8・7・30民事第25部判決(1996) 『金融法務事情』No.1465,pp90-119

牛越 博文(2000)『日本版金融サービス法』 日本経済新聞社

山田 誠一(2000)「金融商品の販売等に関する法律の成立」『金融法務事情』1590:pp6-17

全国銀行協会連合会(1998)『銀行の社会的責任とコンプライアンスについて』全国銀行協会連合会

全国銀行協会連合会(1999)「「消費者との契約のあり方に関する留意事項」の制定について」http://www.zenginkyo.or.jp/news/news021.htm (2000/08/29)

全国銀行協会連合会(2000)「銀行取引約定書ひな型の廃止と留意事項の作成について」http://www.zenginkyo.or.jp/news/newsgintori.html (2000/09/25)


表1

「クーリング・オフ一覧表(19996月現在)

取引内容

期間

適用対象

訪問販売
電話勧誘販売

法定の契約書面の交付された日から8日間

店舗外での指定商品・権利・役務の取引(3000円未満の現金取引を除く)

割賦販売
クレジット商法

クーリング・オフ制度の告知の日から8日間

店舗外での指定法品のクレジット契約

マルチ商法

法定の契約書面の交付された日から20日間

全ての商品・権利・役務

現物まがい商法

法定の契約書面の交付された日から14日間

特定商品・施設利用権の預託取引

海外先物取引

海外先物契約(基本契約)定結尾の翌日から14日間*

事務所以外での取引で、指定市場・商品の売買注文

宅地建物取引

クーリング・オフ制度の告知の日から8日間

宅地建物取引業者が売り主である宅地建物の売買で店舗外での取引

ゴルフ会員権の募集

法定の契約書面の交付された日から8日間

50万円以上のゴルフ会員権で、オープン前の新規募集であるとき

投資顧問契約

法定の契約書面の交付された日から10日間

投資顧問業者(許可業者)との契約、ただし清算義務あり

保険契約

法定の契約書面の交付された日と申込みをした日との、いずれか遅い日から8日間

保険期間が1年以下の契約を除く

特定継続的役務取引

法定の契約書面の交付された日から8日間

エステ・語学教室・学習塾・家庭教師派遣の4種、199910月下旬以降の契約

)

1.      起算日はいずれも初日を算入する。
ただし、*印の海外先物取引は、民法原則に従って契約日の翌日から起算

2.      「法定の契約書面の交付された日」「クーリング・オフ制度の告知の日」「契約締結日」は、クーリング・オフの記載がある申し込む書の控えが手渡された日であるケースが多い。

3.      期間内に通知書を発信すれば、到達は期限後でもよい。

4.      マルチ商法、現物まがい商法、投資顧問契約、ゴルフ会員権の募集は、営業所で契約した場合も適用される。

5.      生命保険契約については、医師による審査を受けた場合、適用されない。

6.      特定継続的役務契約については、19994月に新設された。」

(国民生活センター 「消費生活の知識 クーリング・オフ制度とは」)